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2006年12月 6日 (水)

#15 早すぎた黒船来襲がふたたび復活 “サディスティック・ミカ・バンド①~本編”

木村カエラをヴォーカリストに迎えサディスティック・ミカ・バンド17年振りに再結成され、キリンラガーのテレビCMで“タイムマシンにおねがい”がお茶の間に流れた。ミカ・バンドのファンである私にとってうれしい春先のニュースだった。そして、ニュー・アルバム『NARKISSOS(ナルキッソス)』がこのほど10月末にリリースされた。『NARKISSOS』の発売を記念して、二回連続でミカ・バンド特集をお届けします。

ビートルズ以降の日本のロック史の過渡期を語るうえで、サディスティック・ミカ・バンドはなくてはならない重要なバンドである。しばしば、まったく違った個性をもつはっぴいえんどと比較されることがある。多少のメンバー・チェンジはあったが、主要メンバーは加藤和彦G.Vo.)、当時加藤夫人のミカ(Vo.)、高中正義(G.)、小原礼(B.)、高橋幸宏(Ds)、今井裕(Key.)という精鋭ぞろいだった。

遊び心にあふれた楽曲はオリジナリティに富んでいた。アルバムも斬新なうえに完成度が高く、ファッション・センスも最先端を走っていた。ほかのロック・バンドとは明らかに切り口や方向性が違っていたのだ。異彩をはなつミカのヴォーカルは、自由奔放でとても新鮮だった。曲作りの中心となっていた二人のことも忘れてはいけない。加藤和彦のコンポーザーとしての力量と「不思議」、「宇宙」、「和」などをテーマにした松山猛の詩はグローバル・スタンダードといえるものだった。ミカ・バンドは唯一無二の個性をもったロック・バンドだったのだ。

そんな型にはまりきらないミカ・バンドは日本では一般的には受け入れられなかった。きっとそのすべてが早過ぎたのだろう。時代より先を行ってしまったのだ。ところが、皮肉なことに新しいものには寛大なイギリスでは絶大な評価を得たのだ。それでも、以降の国内の多くのロック・キッズやロック・バンドに与えた影響は多大で、ミカ・バンド・ファンを公言するバンドやミュージシャンも少なくない。

1972年6月、加藤和彦がドーナツ・レーベルを設立。ミカ・バンドのデビュー・シングルである“サイクリング・ブギ”を発表。このときのドラムはつのだひろだった。

1973年6月、1stアルバム『サディスティック・ミカ・バンド』発表。ここで主要メンバーが固まる。ドラムがつのだひろから高橋幸宏に。収録曲は“怪傑シルヴァー・チャイルド影絵小屋アリエヌ共和国ピクニック・ブギ”サイクリング・ブギ”など。「宇宙」をテーマにした突き抜けた会心のブギ&ロックン・ロール・アルバムだ。 “怪傑シルヴァー・チャイルド”でのミカは最高です。

1974年10月、シングル“タイムマシンにおねがい”発表。この派手な曲はロック少女がコピーする定番の曲となる。また、高中正義の間奏でのギター・ソロは、ギター少年泣かせの難題であった。

1974年11月、2ndアルバム『黒船』発表。プロデュースは、The Beatles(ビートルズPink Floyd(ピンク・フロイドRoxy Music(ロキシー・ミュージック)などのアルバムを手がけたこともある名うてのプロデューサーChris Thoma(クリス・トーマス)であった。しかも、クリス・トーマス側からの申し出により実現したというからすごい。『黒船』は「和」を取り入れた世界基準の、まぎれもないジャパニーズ・ロックの名盤である。当時の日本ではめずらしいコンセプト・アルバムでもあった。収録曲は“墨絵の国へタイムマシンにおねがい黒船 (嘉永六年六月二日)”黒船 (嘉永六年六月三日)黒船 (嘉永六年六月四日)”塀までひとっとび”など。

1975年2月、アルバム『Black Ship(黒船)』をアメリカで発売。

1975年4月、アルバム『Black Ship(黒船)』をイギリスで発売。

1975年7月、3rdアルバム『HOT! MENU』発表。『黒船』に引き続き、クリス・トーマスがプロデュース。ベーシストが小原礼から後藤次利に。収録曲は“ブルーマダマダ産婆それ行け!トーマスファンキーMAHJANG”など。サンバを取り入れたり、洒落のきいたコミカルな一面もみせており、個々の曲は十分に楽しめる。しかし、アルバム全体としては散漫になっている感は否めない。“ブルー”は名曲です。

1975年10月、英国ツアー。オープニング・アクトとしてロキシー・ミュージックと共演。東洋からきたロック・バンドの鬼気迫る演奏が超大物ロキシー・ミュージックを喰ったともいわれている。King Crimson(キング・クリムゾン)の主要メンバーだったIan McDonald(イアン・マクドナルド)をはじめ、音楽関係者・各メディアから絶賛される。

1975年11月、帰国後に加藤和彦とミカ離婚。そして、ミカ・バンド解散。その後ミカはクリス・トーマスと結婚。イギリスの複数のレーベルから契約のオファーがあったといわれるだけに残念な解散となった。

1976年7月、ライヴ・アルバム『ミカ・バンド Live In London』発売。当初はレコード化の予定がなかったため録音状態はかなり悪いが、それでも余りある迫力の名演奏が聴ける。コンサート序盤では様子をうかがっていた目の肥えたロンドンの聴衆も、終盤では本気の歓声と拍手を送っているのが実感できる。その変化は本当に興奮ものです。特にラストの“塀までひとっとび(英題“Suki Suki Suki”)”の演奏は圧巻。

1977年8月、ベスト・アルバム『The Best ! Menu(ベスト!メニュー)』がリリースされる。かくれ名曲“ハイ・ベイビー”収録。

これがSadistic Mika Bandの残した軌跡の概要だ。その後、1988年には桐島かれをヴォーカリストに迎え、一時的に再結成しライヴも行われた。Sadistic Mica Bandである。アルバム『天晴』をリリース。Boys & Girls脳にファイアー!Brain's On Fire7 Days, At Last!”などを収録。ライヴ・アルバム『晴天』では新曲のほかに、“ファンキーMAHJANG”、“タイムマシンにおねがい”、“塀までひとっとび”なども収録されている。そして2006年、今回の再々結成が木村カエラのSadistic Mikaela Bandである。

なお、1985年には国立競技場で一日限りのサディスティック・ユーミン・バンドとして音楽イベントに出演。メンバーは、ユーミン(松任谷由実、加藤和彦、高中正義、高橋幸宏、後藤次利、そして坂本龍一だった。

 さて、木村カエラのSadistic Mikaela Bandである。『NARKISSOS(ナルキッソス)』を聴いてみたが、これは評価の分かれるアルバムだと思う。なんの先入観もなしに聴けばまずまずの出来といえるが、往年のミカ・バンド・ファンにとっては微妙なアルバムかもしれない。というのもこれは明らかにミカ・バンドではなく、まったく違うバンドになっているからだ。桐島かれんのときよりもかけ離れているという意見もきこえてきそうだ。ミカ・バンドのすごさを知っているだけに、じつは私もちょっと戸惑ってしまった。『NARKISSOS(ナルキッソス)』にコンセプト・アルバム的なひとつの世界を求めてはいけないということだけは確かなようだ。

しかし、ミカ・バンド・ファンを自称する私は寛大である。むふ。ヴォーカルがかわっているので違うバンドになっていて当たり前なのだ。時間も経っているのだから、全盛時のミカ・バンドを期待するほうが間違っている。ミカ・バンドを聴けることに喜びを感じ、エレクトリック・ポップなカエラのSadistic Mikaela Bandを楽しみたいと思う。それにSadistic Mikaela Bandはなんといってもカッコいい。木村カエラのもつ天性のスター性にまずは乾杯だ。そして、多忙なはずなのに、この仕事を引き受けてくれた木村カエラに心から感謝しよう。希望をいえばコンサート・ツアーをやってほしいというのが、私の正直な気持ちでもある。ツアーが実現すればバンドの一体感も増すだろうし、また新たな発見というのもあるだろう。木村カエラはミカや桐島かれんに比べ歌がうまいので、ライヴではよりいいパフォーマンスも期待できるというものだ。

木村カエラがミカ・バンドのヴォーカリストに抜擢されたのは偶然ではない。まず加藤和彦の好みであるのが最大の理由だ。ミカ、桐島かれん、前夫人の安井かずみ、そして、木村カエラはみんな顔立ちが外国人っぽくて、派手なのだ。日本人の母親とイギリス人の父親をもつ木村カエラには、イギリスに住む祖父から「カエラ、サディスティック・ミカ・バンドでやるんだって・・・。」という驚きのメールがきたそうだ(ミュージック・ステーションでの発言)。ミカ・バンドのイギリスでの認知度がわかるエピソードだ。木村カエラにイギリス人の血が流れているというのも、ひとつの必然なのかもしれない。

なにはともあれ、うれしいサディスティック・ミカ・バンド復活!である。次回は、“サディスティック・ミカ・バンド~ひとりごと編”をお送りします。

                                                                                                                                                                                                                                                                                                         

Sadistic Mikaela Bandの最新情報は、こちらからご覧になれます。

Sadistic Mikaela Bandの最新情報

Sadistic Mikaela Bandの“Big-Bang, Bang(愛的相対性理論)”の動画は、こちらからご覧になれます。

Big-Bang, Bang(Sadistic Mikaela Band)の動画

Sadistic Mikaela Bandの“Sadistic Twist”の動画は、こちらからご覧になれます。

Sadistic Twist(Sadistic Mikaela Band)の動画

Sadistic Mikaela Bandの“タイムマシンにおねがい”の動画は、こちらからご覧になれます。

タイムマシンにおねがい(Sadistic Mikaela Band)の動画

Sadistic Mica Bandの“Boys & Girls”の動画は、こちらからご覧になれます。

Boys & Girls(Sadistic Mica Band)の動画

 

  

※ 2008年06月11日追記(動画追加) 

 

高中正義の“黒船 (嘉永六年六月四日)”のライヴ映像は、こちらからご覧になれます。

黒船 (嘉永六年六月四日)(高中正義)の動画

※ 2008年10月24日追記(動画追加) 

 

Sadistic Mika Bandの“タイムマシンにおねがい”の動画は、こちらからご覧になれます。

タイムマシンにおねがい(Sadistic Mika Band)の動画

 

Sadistic Mika Bandの“影絵小屋”の動画は、こちらからご覧になれます。

影絵小屋(Sadistic Mika Band)の動画

 

Sadistic Mica Bandの“颱風歌”の動画は、こちらからご覧になれます。

颱風歌(Sadistic Mica Band)の動画

 

Sadistic Mica Bandの“サイクリング・ブギ~ピクニック・ブギ~ダンス・ハ・スンダ”の動画は、こちらからご覧になれます。

サイクリング・ブギ~ピクニック・ブギ~ダンス・ハ・スンダ(Sadistic Mica Band)の動画

 

Sadistic Mica Bandの“黒船 (嘉永六年六月四日)”の動画は、こちらからご覧になれます。

黒船 (嘉永六年六月四日)(Sadistic Mica Band)の動画

 

Sadistic Mica Bandの“塀までひとっとび”の動画は、こちらからご覧になれます。

塀までひとっとび(Sadistic Mica Band)の動画

 

Sadistic Mica Bandの“ファンキーMAHJANG”の動画は、こちらからご覧になれます。

ファンキーMAHJANG(Sadistic Mica Band)の動画

 

※ 2009年07月12日追記(動画追加)

 

Sadistic Mika Bandの“塀までひとっとび”の動画は、こちらからご覧になれます。

塀までひとっとび(Sadistic Mika Band)の動画

  

 

★ 本日の L-O-V-E

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音楽の世界を支配していたのがむさ苦しい長髪族とゴタクを並べてばかりのプログレ族だった1970年代初頭。そんな時代に登場したロキシー・ミュージックは、まるで別の惑星からやってきたかのように目立っていた。とてつもなく異質でものめずらしい存在だった彼らは、キッチュでアヴァンギャルドでありながら堂々たるポップであることによって当時のトレンドに強く抵抗したのである。ブライアン・フェリーが妖しく官能的なフロントマンなら、ブライアン・イーノは脱構築的な視点をもちこむ学識派で、彼らのやる音楽はクレイジーでセク... [続きを読む]

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