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2006年12月15日 (金)

#18 ダイヤモンド・ダストの空に輝く一粒のきらめき “心に残る一曲特集②~ニュー・ウェーヴ編”

 1970年代後半から1980年代前半にかけて、ミュージック・シーンにおける“ニュー・ウェーヴ”といわれるひとつの潮流がありました。そのただなかにいたロック・ミュージシャンの心意気には並々ならぬものがあったと私は思うのです。

1950年代に“R&B(リズム・アンド・ブルース)”が変化したエイト・ビートの音楽が、“ロックン・ロール”だといわれています。コード進行もスリー・コードを基本にしたシンプルなものでした。Chuck Berry(チャック・ベリー)Bill Haley(ビル・ヘイリー)Little Richard(リトル・リチャード)Eddie Cochran(エディ・コクラン)Elvis Presley(エルヴィス・プレスリー)などによって、ロックの原形が確立されたわけです。50’s(フィフティーズ)と呼ばれ、いまでも愛され続けています。

 1960年代に入り、ロックは飛躍的に進化します。50年代にアメリカで生まれたロックがイギリスで爆発します。The Beatles(ビートルズ)The Rolling Stones(ローリング・ストーンズ)The Who(フー)The Kinks(キンクス)などにより、ロックの可能性が大きく拡がり国内はおろかアメリカでも大成功をおさめたのです。このブリティッシュ・ロックの台頭はイギリスの侵略、British Invasion(ブリティッシュ・インヴェイジョン)”とよばれています。この頃から、ロックは反骨の精神をもった音楽という意味にも、しばしば使われるようになります。

 1960年代後半から1970年代後半にかけて、“ブリティッシュ・インヴェイジョン”の影響を受けたバンドが数多く登場。さまざまなロックへと派生し、音楽的にも複雑化していきます。ロック・バンドやロック・ミュージシャンがまさに群雄割拠の時代で、ロックがいちばん光り輝いていた時期でもあります。フォーク・ロック、ブルース・ロック、グラム・ロック、プログレシヴ・ロック、ハード・ロック、パンク・ロック、へヴィ・メタル・ロックなど、果てはテクノ・ポップに至るまで、ロックは多岐にわたりさらなる進化を成し遂げました。当然のように偉大なバンドや名盤といわれるアルバムが次々と誕生しています。バンドやミュージシャンの名前をあげたらきりがないので、ここでは省略させていただきます。

 そして、急速に進化してしまったロックは行きづまり、スロー・ダウンしてしまうのです。1970年代後半には、ロックは出尽くしたとさえいわれるようになります。たまたまこの時代に生きた才能のあるロック・ミュージシャンは、よりよい曲をつくることに精を出すしかありませんでした。それでもなお、新しいロックを模索し、求め続けた連中もいました。これが、1970年代後半から1980年代前半にかけての“ニュー・ウェーヴ”といわれる流れです。ポスト・ロック、あるいはポスト・パンクといった意味合いで使われることが多いのですが、当時は新しいバンドはなんでもかんでも“ニュー・ウェーヴ”と呼ばれていたふしがあります。同時期にロンドンでおこった“ニュー・ロマンティック”と混同されがちなこともあり、“ニュー・ウェーヴ”の明確な定義は曖昧なままだといえます。そもそも音楽をジャンルでくくること自体に無理があるので、これは仕方のないことでしょう。私も音楽をジャンル分けすることは好きではありませんが、便宜上使わせていただいています。

“ニュー・ウェーヴ”の旗手といわれたおもなバンドは、The Human League(ヒューマン・リーグ)Ultravox(ウルトラヴォックス)Talking Heads(トーキング・ヘッズ)Buggles(バグルス)Tom Tom Club(トム・トム・クラブ)The B-52's(ビー・フィフティ・トゥーズ)Devo(ディーヴォ)Taco(タコ)Altered Images(オルタード・イメージ)Chagrin d'amour(シャグラン・ダムール)などで、The Specials(スペシャルズ)Pigbag(ピッグバッグ)といったスカ・バンドが含まれることもありました。

日本では、プラスチックス一風堂ヒカシュー戸川純のいたゲルニカといったあたりでしょうか。YMO(イエロー・マジック・オーケストラ)は明らかにテクノ・ポップなので、ここには入らないと私は思っています。日本の“ニュー・ウェーヴ”の代表格みたいに言われていたんですけどね。テクノ・ポップは1970年代半ばに、Kraftwerk(クラフトワーク)によってすでに確立されていました。

いまこうして振り返ってみると、“ニュー・ウェーヴ”と呼ばれたバンドの多くが三つの大きな流れの延長戦上にあるといえるでしょう。 “グラム・ロック”、“パンク・ロック”、そして“テクノ・ポップ”です。あくまで私見ですがそう思います。

  “ニュー・ウェーヴ”を取り上げた理由は、1970年代後半に行き場を失ったロックにあえて可能性を求めた彼らのアグレッシヴな姿勢に拍手を送りたいからです。新しいものを創りだすという作業は並大抵のことではないのです。

 それでは、“心に残る一曲特集②~ニュー・ウェーヴ編”をお届けします。

 

★ “Video Killed The Radio Star(ラジオ・スターの悲劇)” Buggles(バグルス)

この曲をはじめて聴いたとき、いい曲だと思ってね。さっそくアルバムを買いに行ったさ、お金があまりないのに。きっといいアルバムに違いないと思って。でも、ほかの曲はいまひとつだったんですよね。この曲が際立ってよかったのでそう感じただけかもしれませんが。“ラジオ・スターの悲劇”はMTVで最初にオン・エアされた曲だといわれています。この曲はスタンダードとして残るのではないでしょうか。バグルスはニュー・ウェーヴというより、正統派ポップ・ロック・グループという感じがしますね。

Video Killed The Radio Star(Buggles)の動画

Video Killed The Radio Star(Buggles)の2004年のライヴ映像

 

★ “Don't Talk To Me About Love(恋のモノローグ)” Altered Images(オルタード・イメージ)

 1979年スコットランドで結成されたバンド。女優でもあるヴォーカルのClare Grogan(クレア・グローガン)は私にとって、ニュー・ウェーヴのアイドルでもありました。鼻にかかった舌ったらずの声と独特のパフォーマンスでクレア・ワールドを展開。3rdアルバムBiteは好きでよく聴いていました。Love To Stay(ラヴ・トゥ・ステイ)”も名曲です。1984年に解散しましたが、上質のポップ・センスをもったバンドでした。残念ながら日本での評価は当時から低かったような気がします。いいバンドなんだけどなぁ。

Don't Talk To Me About Love(Altered Images)のTVライヴ映像

Don't Talk To Me About Love(Altered Images)の動画

Bring Me Closer(Altered Images)の動画

Love To Stay(Altered Images)の動画

 

★ “Planet Claire(惑星クレア)” The B-52's(ビー・フィフティ・トゥーズ)

 1979年にデヴュー・アルバムThe B-52’s(警告!The B-52’s来襲)』を発表。アメリカのバンドですが、レトロなファッションと独創的なロックで評価を得ました。この手のバンドにしてはめずしく息が長く、1990年代後半まで活動は続いていきます。1999年には、ヴォーカルのKate Pierson(ケイト・ピアソン)が、JUDY AND MARY (ジュディ・アンド・マリー)Yuki、元プラスチックス佐久間正英島武実、元JAPAN(ジャパン)Mick Karn(ミック・カーン)とともにNiNa(ニーナ)を結成し話題となりました。ニーナは聴いたことがありませんが、ジャパンのベーシストのミック・カーンが参加していることになによりも感激。

Planet Claire(The B-52's)の動画

Rock Lobster(The B-52's)の動画

 

     Chacun Fait (C'qui Lui Plait)(フレンチ・ナイト)” Chagrin d'amour(シャグラン・ダムール)

 シャグラン・ダムール。フランスで結成された男女デュオ。1982年にアルバムChagrin d'amour(ワンワン・ミャウミャウ)』がフランス国内でヒットし、Chacun Fait (C'qui Lui Plait)(フレンチ・ナイト)”がシングル・チャートの一位を獲得。その流れで日本にも紹介され、フレンチ・ニュー・ウェーヴと呼ばれていました。ロック、シャンソン、レゲエ、ラップなどを取り入れた不思議なバンドで、他のバンドとは一線を画していました。本当はシャグラン・ダムールの真骨頂を発揮した Fais Le Waou Waou(ワンワン・ミャウミャウ)”をご紹介したかったのですが、動画が見つかりませんでした。おまけにこのアルバムは廃盤になっているのですね。またも個性派名盤が・・・、無念です。

Chacun Fait (C'qui Lui Plait)(Chagrin d'amour)の動画

 

     Gangsters(ギャングスター)” The Specials(スペシャルズ)

 1979年にアルバムSpecials(スペシャルズ)』でデヴューしたイギリスのスカ・バンドですが、なんともいえない乾いた空気が漂っていました。カッコいいです。直接関係はないのですが、Pigbag(ピッグバッグ)Papa's Got A Brand New Pigbag(パパのニュー・ピッグバッグ)”もよかったら聴いてみてください。こちらも負けていません。Madness(マッドネス)もおなじ部類のバンドとしてよく取り上げられていましたね。

Gangsters(The Specials)の動画

Papa's Got A Brand New Pigbag(Pigbag)の動画

 

★ “Iko Iko(アイコ・アイコ)” The Bell Stars(ベル・スターズ)

 1950年代に生まれた名曲Iko Iko(アイコ・アイコ)”をガールズ・バンドのThe Bell Stars(ベル・スターズ)がカヴァー。Sign of the Times(サイン・オブ・ザ・タイムス)”のヒットもありましたが、Iko Iko(アイコ・アイコ)”のアレンジが最高です。私はこの曲好きですね。1965年、女性コーラス・グループのThe Dixie Cups(ディキシー・カップス)によって一般に知られるようになったといわれています。Cyndi Lauper(シンディ・ローパー)もアルバムTrue Colors(トゥルーカラーズ)』でカヴァーしていました。ベル・スターズの“Iko Iko”は、映画『レイン・マン』の挿入歌にも使われました。

Iko Iko(The Bell Stars)の動画

 

 次回は、“心に残る一曲特集③~青春編”です。

                                                                   

                                                                  

 

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