« #39 それが僕のてぃーんず ぶるーす “原田真二” | トップページ | #41 さまよえる世界への警鐘テクノ “クラフトワーク②” »

2008年10月11日 (土)

#40 さまよえる世界への警鐘テクノ “クラフトワーク①”

 Kraftwerk(クラフトワーク)がテクノ・ポップの先駆者だということに異論をとなえる人はまずいないでしょう。1970年に結成されたドイツのテクノ・ポップ集団で、Kraftwerkはドイツ語で発電所という意味ですが、発電所をバンド名にするあたり、そのセンスもさすがというしかありません。

 私がまだ高校生だったころ、ラジオからたまたま流れてきたアルバムThe Man Machine(人間解体)』収録のThe Robots(ロボット)”がクラフトワークとの最初の出会いでした。その電子音楽はそれまで聴いたどの音楽とも違っていました。シンセサイザーという楽器が一般にはまだよく知られていないような時代でしたからね。

 それなのにその電子音楽はとてつもない完成度を誇っていました。その衝撃はいまでも覚えています。電子音が無機質で近未来的な雰囲気を醸しだしているのですが、曲調は意外にもポップなダンス・ミュージック風でもあり、その不思議な魅力につい引き込まれてしまいました。それにしても彼らの影響を受けたYMO(イエロー・マジック・オーケストラ)が結成されたのが1978年なので、クラフトワークがいかに先端を走っていたかがわかります。

 関西のとある田舎町で育った私は近くの本屋で音楽雑誌の“rockin’on”や“MUSIC MAGAZINE”などを立ち読みして、数少ないクラフトワークの情報収集に精を出していました。しかし得られる情報は少なく、まもなくレコード店へ『The Man Machine(人間解体)』を買いにいきましたが、世間はロックやポップスの全盛の時代でした。小さなレコード店にクラフトワークのレコードなど置いているはずもありませんでした。

 クラフトワークを知らないレコード店の店主は、『人間解体』を注文する私を怪訝そうにみるのでした。健全な少年はロックやポップスを聴くものだと思っていたのでしょう。確かに健全とはいえなかったかもしれませんがね。寺山修司安部公房に興味をもつ高校生は、廻りから見れば健全ではなかったでしょう。むふ。

 その約一週間後、注文の品が店に届いたとの連絡がはいりました。はやる気持ちをおさえて少年“黒船”は、自転車を時速35キロでとばしていったのでした。

 『人間解体』は私の期待を裏切ることのない、というより予想をはるかに超えたアルバムでした。未知の世界にふれる喜びを感じ、翌日にはAutobahn(アウトバーン)』を注文しにレコード店へと向かうのでした。

クラフトワークの代表的なアルバムといえば、『Autobahn(アウトバーン)』、『Radioactivity(放射能)』、『The Man Machine(人間解体)』、『Trans Europe Express(ヨーロッパ特急)』、『Computer World(コンピューターワールド)』、『Electric Cafe(エレクトリック・カフェ)』、『Tour De France(ツール・ド・フランス)』などがあります。

 なかでも1974年から1978年にかけて発表された『アウトバーン』、『放射能』、『人間解体』、『ヨーロッパ特急』は、クラフトワークの地位を確かなものにし、テクノ・ポップという言葉を音楽界に浸透させた名盤群です。

 クラフトワークの魅力的なところは、実験的な音楽性にとどまらず、その題材が多岐にわたるところです。アウトバーン(ドイツの高速道路)、ロボット、放射能、TEE(ヨーロッパ特急)、テクノロジー、数字、電卓、ヴィタミン、ツール・ド・フランスなど、音楽がなにも愛を歌うだけのものではないことを実践してきました。ただし、題材がたとえ無機的なものであれ、そこには題材への愛が流れていることも付け加えておきましょう。

 そして、それは人類への愛、地球への愛へと通じているのです。特に『放射能(Radioactivity)』、『人間解体(The Man Machine)』では、テクノロジーに侵されてしまった現代社会への警告を発していたりもします。音楽性が無機的で冷静なぶん、そのメッセージには妙な説得力があります。

180pxbabelsberg_einsteinturm_3 ドイツといえば、1900年代初頭から芸術界においてドイツ表現主義というひとつの潮流がありました。その流れは絵画にとどまらず建築の世界にもおよびました。建築で有名なのはErich Mendelso(エーリヒ・メンデルゾーン)アインシュタイン塔です。1920年代にポツダムに建設された、アインシュタインの相対性理論を検証するための研究施設です。

 学生のとき建築デザインを学んでいた私は、ドイツ表現主義にとても惹かれたのです。この建築デザインはクラフトワークの音楽に通じるものを私は感じます。近未来的なのに普遍的な美しさがあるのです。ドイツ恐るべしです。ふむ。

 次回は、クラフトワークの2004年の来日公演のお話でもしましょう。

 

 

 

 

 

クラフトワークの“The Robots(ロボット)”は、こちらからご覧になれます。

The Robots(Kraftwerk)の動画

クラフトワークの“Autobahn(アウトバーン)”は、こちらからご覧になれます。

Autobahn(Kraftwerk)の動画

クラフトワークの“Man Machine(人間解体)”は、こちらからご覧になれます。

Man Machine(Kraftwerk)の動画

クラフトワークの“Trans Europe Express(ヨーロッパ特急)”は、こちらからご覧になれます。

Trans Europe Express(Kraftwerk)の動画

クラフトワークの“Neon Lights(ネオン・ライツ)”は、こちらからご覧になれます。

Neon Lights(Kraftwerk動画

U2の“Neon Lights(ネオン・ライツ)”は、こちらからご覧になれます。

Neon Lights(U2)の動画 ※ なんとU2がカヴァー。

クラフトワークの“Radioactivity(放射能)”は、こちらからご覧になれます。

Radioactivity(Kraftwerk)の動画

クラフトワークの“The Model(モデル)”は、こちらからご覧になれます。

The Model(Kraftwerk)の動画

 

 

 

★ 本日の L-O-V-E

アウトバーン Music アウトバーン

アーティスト:クラフトワーク
販売元:EMIミュージック・ジャパン
発売日:1998/05/27
Amazon.co.jpで詳細を確認する

放射能 Music 放射能

アーティスト:クラフトワーク
販売元:EMIミュージック・ジャパン
発売日:2008/06/11
Amazon.co.jpで詳細を確認する

人間解体 Music 人間解体

アーティスト:クラフトワーク
販売元:EMIミュージック・ジャパン
発売日:2008/06/11
Amazon.co.jpで詳細を確認する

964

Music Trans-Europe Express

アーティスト:Kraftwerk
販売元:Universal
発売日:1993/05/28
Amazon.co.jpで詳細を確認する

|

« #39 それが僕のてぃーんず ぶるーす “原田真二” | トップページ | #41 さまよえる世界への警鐘テクノ “クラフトワーク②” »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/142379/24431756

この記事へのトラックバック一覧です: #40 さまよえる世界への警鐘テクノ “クラフトワーク①”:

« #39 それが僕のてぃーんず ぶるーす “原田真二” | トップページ | #41 さまよえる世界への警鐘テクノ “クラフトワーク②” »