#34 ビートルズを脅かした衝撃の超新星 “キング・クリムゾン”
King Crimson(キング・クリムゾン)のデビュー・アルバム『In The Court Of The Crimson King(クリムゾン・キングの宮殿)』。ロック史上最高傑作の一枚といわれ、発表されてから40年近くたったいまもさん然と輝いています。
かつてこれほど私が衝撃をうけたアルバムは、ほかにないかもしれません。まずタイトルが意味ありげで素晴らしく、なにかしら近寄りがたい荘厳な響きをもっていました。おまけにレコード・ジャケットも、なんだこれはと思わせる異様さを漂わせたデザインでした。そして、その内容はとてつもない完成度と驚くべき斬新さをあわせもっていました。
はじめてこのアルバムを聴いたときの私の感想は、「こんなのがあるんかい・・・、すごすぎる!」でした。むふ。
1968年にイギリスで結成されたKing Crimson(キング・クリムゾン)の音楽は、ほぼ同時期にデビューしたPink Floyd(ピンク・フロイド)、Yes(イエス)、Genesis(ジェネシス)などとともにプログレシヴ・ロックと呼ばれました。新しい音楽表現を求めた実験的・先進的なロックとでもいえばいいでしょうか。略してプログレと呼ばれることが多く、いまでも根強いファンをもっています。
この手の音楽はえてして自己満足に陥りがちで、聴くものにとって耐えがたい退屈さを感じるものも少なくありません。しかし、『クリムゾン・キングの宮殿』は多くのロック・ファンの心を揺り動かし、記憶に残るアルバムとなりました。
1969年後半から1970年前半にかけて、全英アルバム・ヒットチャートのトップに君臨していたのは、飛ぶ鳥落とす勢いだったThe Beatles(ビートルズ)の『Abbey Road(アビイ・ロード)』でした。“Come Together”、“Something”、 “Oh! Darling ”、“Here Comes The Sun”などを擁したこのアルバムは、ビートルズのなかでも名盤に数えられる1枚で好セールスを記録していました。
そんな状況のなか1969年10月にリリースされたキング・クリムゾンのデビュー・アルバム『クリムゾン・キングの宮殿』が、全英アルバム・ヒットチャートに躍り出たのです。1位とはならなかったようですが、堂々ベスト・テンにランク・インしたのです。突如あらわれた異端の超新星が光をはなった瞬間でした。
さて、『クリムゾン・キングの宮殿』ですが、いわゆるコンセプト・アルバムと呼ばれるもので、一枚でひとつの作品として作られています。クラシック音楽の交響曲のような構成になっていて、第一楽章“21世紀のスキッツォイド・マン”、第二楽章“風に語りて”・・・というような感じでしょうか。
一曲目の“21世紀のスキッツォイド・マン(21世紀の精神異常者)”のライヴ演奏のようなテンションの高さと演奏技術の高さに驚かされ、一転して牧歌的な曲となったかと思えば、“ムーンチャイルド”のせつなげな旋律に酔い、最後は深淵なる大曲“クリムゾン・キングの宮殿”で締めくくられます。ロック・ジャズ・クラシックなどの要素が取り入れられ、スリリングで濃密な時間が流れていく傑作です。
個性が強いので好き嫌いはわかれるかもしれませんが、ロック史上欠かせない重要な1枚であることは間違いありません。
『In The Court Of The Crimson King(クリムゾン・キングの宮殿)』の収録曲とレコーディング・メンバーをご紹介しておきます。
① 21st Century Schizoid Man including Mirrors
(Fripp/McDonald/Lake/ Giles/Sinfield)
21世紀のスキッツォイド・マン(21世紀の精神異常者)(インクルーディング:ミラーズ)
② I Talk To The Wind
(McDonald/Sinfield)
風に語りて
③ Epitaph including : (a) March For No Reason (b) Tomorrow And Tomorrow
(Fripp/McDonald/Lake/ Giles/Sinfield)
エピタフ(墓碑銘) (a) 理由なき行進 (b) 明日又明日
④ Moonchild including : (a) The Dream and (b) The Illusion
(Fripp/McDonald/Lake/ Giles/Sinfield)
ムーンチャイルド (a) ドリーム (b) 幻想
⑤ The Court of the Crimson King including : (a) The Return Of The Fire Witch (b) The Dance Of The Puppets
(McDonald /Sinfield)
クリムゾン・キングの宮殿 (a) 帰って来た魔女 (b)あやつり人形の踊り
Robert Fripp(ロバート・フリップ):guitar.
Ian McDonald(イアン・マクドナルド):reeds, woodwind, vibes, keyboards, mellotron, vocals.
Greg Lake(グレッグ・レイク):bass guitar, lead vocals.
Michael Giles(マイケル・ジャイルズ):drums, percussion, vocals.
Peter Sinfield(ピート・シンフィールド):words and illumination.
“最悪の俺に、とびっきりの天使がやってきた”
このキャッチ・コピーで1998年に公開された『Buffalo '66(バッファロー’66)』という映画があります。Vincent Gallo(ヴィンセント・ギャロ)監督自らが主演をし、相手役にはChristina Ricci(クリスティーナ・リッチ)が起用されました。
両親の愛情を受けることなく育った内向的で幼児性をもつ青年ビリー・ブラウン(ヴィンセント・ギャロ)とまさに天使ともいうべき少女レイラ(クリスティーナ・リッチ)の物語です。
この映画のいちばんの見どころは、クリスティーナ・リッチの演技力とその存在感にあるといえます。とびきりの美人というわけでもなく、スタイルがいいわけでもないのに、その小悪魔的な魅力が映画を終始引っぱっていっていきます。クリスティーナ・リッチが主演でなければ、この映画は駄作になっていたかもしれません。それほどのハマリ役でした。
特にボーリング場でのワン・シーンが、ほんの数分なのですが素晴らしいのです。場内の照明がすべて消し落とされ、ピンが倒される音やまわりの話し声がフェイド・アウトする。暗闇と静寂のなかスポット・ライトがレイラにあてられ、静かなBGMが流れる。曲はキング・クリムゾンの “ムーンチャイルド”。ステージとなったボーリング場の一角で、曲に合わせてスローなタップ・ダンスを踊るレイラ・・・・。
ヴィンセント・ギャロはこの幻想的で妖艶なシーンを撮るために、この映画を撮ったのではないだろうか。そう思えるほどの名シーンでした。そして、クリスティーナ・リッチほどこのシーンが似合う女優はほかにはいないでしょう。BGMも“ムーンチャイルド”でなければ違った印象になっていたかもしれません。
この映画を観たときそんなシーンがあることはまったく知らなかったので、ボーリング場が暗くなり “ムーンチャイルド”が流れた瞬間、鳥肌だったのを覚えています。ヴィンセント・ギャロ、いいセンスしとるなあ。ふむ。
キング・クリムゾンの“21st Century Schizoid Man including Mirrors(21世紀のスキッツォイド・マン)” は、こちらからご覧になれます。
21st Century Schizoid Man including Mirrors(King Crimson)の動画
キング・クリムゾンの“I Talk to the Wind(風に語りて)” は、こちらからご覧になれます。
I Talk to the Wind(King Crimson)の動画
キング・クリムゾンの“Epitaph(エピタフ)” は、こちらからご覧になれます。
キング・クリムゾンの“Moonchild(ムーン・チャイルド)” は、こちらからご覧になれます。
スティーヴ・ハケット、イアン・マクドナルドほかの“The Court of the Crimson King(クリムゾン・キングの宮殿)” は、こちらからご覧になれます。
The Court of the Crimson King(Steve Hackett, Ian McDonald, etc)の動画 ※ 1996年のライヴより。
ロバート・フリップとアンディ・サマーズの“I Advance Masked(心象現象)” は、こちらからご覧になれます。
I Advance Masked(Robert Fripp & Andy Summers)の動画 ※ 1982年、クリムゾンとポリスのギタリストが共演。
『バッファロー’66』でのクリスティーナ・リッチのスロー・タップ・ダンスは、こちらからご覧になれます。
Christina Ricci(Buffalo '66)の動画 ※ BGMは“Moonchild(ムーン・チャイルド)”です。
★ 本日の L-O-V-E ★
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エピタフ Vol.1-Vol.4(紙ジャケット仕様) アーティスト:キング・クリムゾン |
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バッファロー'66 販売元:ジェネオン エンタテインメント |
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クリムゾン・キングの宮殿 アーティスト:キング・クリムゾン |
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